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娘夫婦の介護放棄により入所となった事例

基本情報

氏名A 女性 年齢82

介護保険未申請(保険料滞納)、国保無し 娘夫婦との同居、民生委員から福祉事務所へ相談。本人のこれまでの生活歴等、同居家族の経済状態等の理由により家族から介護されない状態。

概要

ADL

(歩行)かなりの距離の歩行は可能。(排泄)自立。(整容)行っていない。(着脱衣)可能。(入浴)行っていない。(食事)身体的に自立しているが、寺の供え物やもらい物を主に食べており、栄養状態は悪い。

IADL

在宅での実際生活を把握できないため不明な点多い

家族関係・介護状況

娘はパート(休みがち)、娘の夫は働いたり働かなかったりで経済状態悪く、娘夫婦はAさんの介護及び生活には全く無関心。Aさん自身、過去の娘との親子関係上の問題から娘に対する気遣いが大きい。娘は担当者の助言などには耳を傾け、拒否的態度を見せることはないがAさんに対しての関わりを一切行わない。後になってわかるが、娘の意向は「Aと一緒に暮らせない、入所させてほしい」とのこと。3人の孫はすべて20代。

精神状態

家からK寺まで毎日通っており、まれに自宅近くの廃車内や寺の境内で寝泊りすることもある。痴呆もある様子であるが、会話も成立し、短期記憶も問題ないが、性格上、対人関係において衝突することもあり。本人の今後の生活希望は「おなかいっぱいご飯食べたい、ぐっすり眠りたい」とのこと。

特記事項

介護・国保とも保険料を数年滞納しているため、介護・医療サービスがまったく受けられない。生活保護受給歴有。府営住宅を追い出されている経緯有。

経過

1551  民生委員より虐待ではないかと福祉事務所へ連絡

15528  娘宅へ訪問。介護サービスについての説明や、介護保険料の滞納について話す。娘は話の中では「よい返事」をしてくれるのだが全く関心がない様子の為、Aさんへのアプローチ開始。

1571  AさんのK寺での生活に変化ないため、関係機関とケースカンファレンスを行い、今後の支援方針、役割分担を話し合うこととする

15811 娘が福祉事務所へ相談。「市営住宅が当選し10月に家族で入居する予定であるがAとは同居できないため施設入所させてくれないか」とのこと。

15813 介護保険課、高齢福祉課、基幹型担当者でカンファレンスを実施。

今後の支援方針、課題として入所も視野に入れていく支援。、娘のAさんに対する関係作り、娘およびA氏の自己意思の再確認を挙げ役割分担を行う。

1591  娘は入所を希望しているものの、施設に連絡を取ることも無く、状況が変わる様子が見当たらないため、J経費老人ホームの空きが有ること伝え、至急、手続きをとるよう促す。後日、J軽費老人ホームへの面談を娘、孫同行で行ったとのこと。これ以降、娘によるAさんへの関わりはとぎれがちとなる。

15101  Aさんの生活状況に変化無く、保護の意味合いを持つ入所が妥当であるとの見解となり、入所についてのAさんの意思確認もできたため軽費老人ホーム入所に向けて関係機関で連携をとっていくこととする。

151010 入所後すぐに生活保護受給とするよう福祉事務所と調整し、社会貢献事業の経済的支援で診断書作成費用、一時的入所費用、生活用品代を捻出することの3点について話し合う。とりあえずは一時入所とする。

151013 一時的入所となる。

151022 Aさん久しぶりに入浴したようで、汚れも落ち表情も明るく非常に元気であった。本日、正式入所となり生活保護受給が後日決定となる。援助終了

 

 

「集い」としての事例考察

 

今回の事例のように介護保険料未納の高齢者は少なからずともいるわけであるが、こういった高齢者には必ずといっていいほど何らかの生活課題、特に経済的な困窮を抱えている場合が多いと想定されます。こういった個人(世帯)に関しては、問題が生じてからの支援ではなく、行政側が把握した時点での早期の関わりが重要ではないかとの意見集約となりました。もちろん、この残された世帯には3人の孫もいるわけですが、この残った家族に対して支援を行っていく機関が無いのも事実であると思われます。私たちの支援の対象となる高齢者だけの問題解決や喜びだけでは今後の高齢社会に向けての「よりよい老い」を考えることはできないのでは?と痛感した事例です。「よりよい老い」を考えていくことは、一人一人の生まれてから老いるまでの生活の過程をかんがえていくことではないか・・ということでまとめさせていただきます。