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日常会話までの軌跡

[氏名] S氏  [生年月日] 大正12年

[既往歴] パーキンソン病・言語障害・脳挫傷後遺症(器質性精神病)

[普段の様子] 意思疎通困難・精神不安定

     食事:半介助にて摂取するが、口に運んでもらうのを待ってもらう時がある。
     会話:時折大きな声で叫ぶ。

[その場にいた関係者]:職員 10名 研修生 1名・お客様6名   計17

[事例]

内容

午後14:30頃より『じゃんけん』を皮きりに日常的な会話を話し出す。

 

1) 前日寮母が『じゃんけん』を薦めたところチョキを2回ゆっくりではあるが出す。当日の朝、うがいをうまくできる。午前中、普段通りラジオ体操・お参り・リハビリ体操に参加する。昼食の配膳をした際、自ら箸をきれいに持ち(右手)おかゆを食べようとする。その後、1時間ほど居室にて休まれる。離床後、同居者(T氏)のピアノの練習に新館1階のお客様達と1階食堂に行く。再度寮母がじゃんけんを薦めると、前日より早くチョキを出しその後、合図に合わせグー・チョキ・パーを寮母の声と合わせて『ジャンケンポン』と言う。大きい声で笑う。他の寮母の名前をはっきりという。歌も大きな声で謡われる。食べ物の好き嫌いも教えてくれる。甘いものは嫌いと言われるが、『どら焼』は好きだそうだ。ピアノも弾かれた。着床時まで話してくれて、体の力も緩んでいた。一緒にいた、M氏も穏やかで和んでいた。

1)
・今日の昼食時、普段は介助を行うのだが自力にて摂取される。

・いつもはスプーンを握るが、今日はスプーンをつかんだ

2)
・じゃんけんを行う。
1回目は反応が鈍かったが、2回目以降は反応も
・良く自分が何を出しているか分かる。『チョキ』を『はさみ』とも言う。

3)
・T氏のピアノのにあわせて歌を歌う。

曲名  @さくら  A春の小川

      B春が来た C一月一日


・自己紹介をしてくれる。『私は、S○○○○○です。』『△△△△△△(旧姓)』

・生まれは?と聞くと『E県』『みかんのところ』『たくさん作ったと』
・お幾つですか?と年齢を問う。『100…20…130』と答える。

5)問題を出す。
 

・算数の問題「3+5は?」『8』と言う。
・「8+3は?」と聞く。『11』と言う。
・「15+13は?」と聞く。『え〜と…28』と言う。

  ◇英語がしゃべれるか聞く。

・「ありがとうは英語でサンキュー」と伝えると、『さん・きゅうはじゅうに』   (3・ 9=12)と答える。
・四国には何県ありますか?『4つ』と答える。『愛媛県…。』『愛媛県はみかんのところ  』『たくさん作ったと…』
・「私の名前はむ・ら・たです。」と紹介『むらたさん。』と理解される。
・アナログの時計を見せる。「いま何時ですか?」『3:45』正解。

[考察]

S氏の『波』の良い期間が長かったのか?

以前、半寝状態の時(夜間帯)は『おはよう』『お休み』等言われてたことがある。

1階食堂にピアノ(シンセサイザー)が来て、1階のお客様達がたくさん集まり、唱歌を 歌い、回想法が起り『人のエネルギー』が影響したのか?

[感想]

 会話に『度忘れ』や聞き違いはあったものの、痴呆症状は特に見られなかった。自力にて食事をされている時横に座ると、緊張されたのかいつもの様に奇声を出された。算数・時計の見方・地理・好き嫌いの判断等まだまだ開発したい分野があり今後が楽しみである。『地場:エネルギー』が良かった。日中常時奇声を発するM氏も驚いて、一緒に応援してくれた。

[平成173月現在]

 時折、話すことはあるが、大きな進展もなく低下もない。

*平成15年の作成の為『認知症』を『痴呆症状』と記載